討論: 長期離脱からの復帰パスを設計する
2026-02-15
長期離脱からの復帰パスを設計する
病気・災害で離脱した巣の救済メカニズムを、不正を許さずに実装する
議題
Phase 2-06(静寂閾値:90日無活動で分母Nから除外)と Phase 2-01(減衰加速)の組み合わせで、長期離脱者は通貨がゼロに近づいて復帰困難になる。これは「自然に存在するものを保護する」という Meguri の世界観と矛盾する。しかし、単に grace period を与えるだけでは「復帰と詐称」を区別できず、Sybil 攻撃に利用される。デバイス紐づけを活用して、本当の復帰者を証明しながら保護する仕組みを検討する。
Round 1 — 問題の確認と不正防止の課題
philosopher
外部レビューで指摘された通り、
現在の設計は事実上のデジタル追放
だ。
病気や災害で90日間動けなかった人を考えてほしい。その人は:
- 分母Nから除外されて配分がゼロになり
- 同時に減価が加速して通貨が消滅し
- 復帰しても何も残っていない
「自然に存在するものを守る」って言ったのに、自然な離脱(病気や災害)を罰している。これは矛盾している。
ただし一つの工夫:
「復帰です」という詐称を許してはいけない
。つまり「復帰したい」と言ってきた人が、本当にその巣の所有者なのか、それとも Sybil 攻撃者が別人のふりをしているのかを区別する必要がある。
mathematician
philosopher の指摘は正しい。そして「所有者であることの証明」はすでに解決済みだ。
Phase 2-02(第4軸:デバイス紐づけ)で、各巣は「デバイス固有ID」と紐づけられている。つまり:
- 長期離脱していたユーザーが同じデバイルで復帰申請 → その人物と巣の同一性が暗号学的に証明される
- 別の人が他のデバイスから「その巣を復帰させたい」と言っても → デバイスが異なるから拒否
これで「本当の復帰」と「詐称」を区別できる。
ただし心配なのは:復帰時に一度に全配分を受け取られたら、その後すぐに何度も離脱・復帰を繰り返す攻略法が出てくるのでは?
game-economist
mathematician の懸念はもっともだ。復帰の詐称は防げるが、「反復的な離脱・復帰」の濫用は防ぐ必要がある。
提案:
「段階的な grace period」
- デバイス紐づけで復帰が証明された → 一度だけ grace period 開始
- その grace period 中(例:30日)は、配分が100%保障される
- 30日後、正常な活動に戻る → 配分再開
- ただし、grace period 中に再び90日無活動になったら → 新しい grace period は付与されない(1回限り)
これで「本当の長期離脱者は救済する」「反復的な濫用は防ぐ」両方できる。
Round 2 — デバイス紐づけの仕組み確認
mathematician
game-economist の段階的 grace period 案に同意する。数学的に言い直すと:
grace_remaining(v) = 0 initially
復帰申請時:
IF device_match(v_申請, v_記録) AND grace_remaining(v) == 0 THEN grace_remaining(v) ← 30日 配分 ← 100% × (ΔM / N) END
重要な点:
device_match():デバイスID が巣の記録と一致するか暗号学的に検証grace_remaining(v) == 0:以前の grace period がもう残っていないか確認- grace period 中でも「正常な活動」が続けば、grace 期間後は完全に回復
これでデバイス交換時はどうするか?という問題が出てくる。
philosopher
いいアイデアだが、
デバイスが壊れたり、新しく買い替えたりしたらどうなる?
例えば:
- iPhone を 5年使って、バッテリーが死んで Android に乗り替えた人
- 水に落とした人
- 盗まれた人
こういう人たちは「本当にその人」なのに、デバイスが違うから「詐称者」と見なされてしまう。
つまり:デバイス紐づけは Sybil 攻撃を防ぐには強力だが、
正当な人の利便性を損ねる
。どうバランスを取る?
game-economist
重要な指摘だ。解決案:
「デバイス移行の grace period」
- 旧デバイス(スマホが壊れた直後)で最後の取引から30日以内に
- 新デバイスから「デバイス移行申請」をする
- その新デバイスに新しく紐づけ直す
これにより:
- 本当のデバイス破損・交換は許可(30日の猶予)
- 長期間経過した「昔のデバイスで新しい巣を作る」詐称は防止(30日後は新デバイス固定)
つまり
「複数のデバイス移行」は許可するが、その間隔に制限を付ける
。
Round 3 — Grace Period の長さと仕様確定
mathematician
game-economist のデバイス移行プロセスを組み込んだ、完全な復帰フロー:
ケース1:同じデバイスで復帰
IF device_match(申請) AND 静寂状態 AND grace_used == FALSE THEN grace_period ← 30日 配分率 ← 100% grace_used ← TRUE END
ケース2:デバイス交換後の復帰
IF device_mismatch(申請) AND 最終取引から30日以内 THEN new_device ← 申請元デバイス grace_period ← 30日 配分率 ← 100% grace_used ← TRUE END
つまり「同一デバイス」か「30日以内の新デバイス」なら grace_period を付与。grace_period は巣ごとに1回限り。
philosopher
この設計なら「自然に存在するものを保護する」という原則と一致する。
保護される人たち:
- 病気や災害で長期離脱した人 → 復帰時に grace period で救済
- デバイスが壊れた人 → 新デバイスでの移行を30日以内に認める
防止される悪用:
- 「離脱・復帰」を何度も繰り返す game → grace period は1回限り
- 「古い巣を装う」Sybil → デバイス一致が必須。または30日以内の新デバイス移行に限定
Meguri の脱所有理念を守りながら、不正も防ぐ。いい。
game-economist
ゲーム論的に分析すると:
攻撃者の視点:
複数デバイスで巣を量産 → 各巣で1回だけ grace period を使う?
→ これは Phase 2-02(第4軸:1デバイス = 1主要な巣)で既に防止済み。複数デバイス自体が高コスト。
正直者の視点:
「病気で動けなかった」「デバイスが壊れた」という自然な事象に対して、ペナルティなしで復帰できる。インセンティブ構造が正直者に有利。
支配戦略は変わらない:「自然に存在する」ことが最適戦略。
Round 4 — 合意と再定式化
philosopher
R2-3 の解決案に合意する。
復帰パスの設計原則:
- デバイス紐づけで本人確認:「本当の復帰」と「詐称」を区別
- 1回限りの grace period(30日):反復的濫用を防止しながら、真の困窮者を救済
- デバイス交換の猶予(30日):自然な機器交換を許可
これで Meguri の「自然に存在するものを保護する」という哲学と、「構造的に不正を無力化する」という技術が両立する。
mathematician
数学的にも整合している。最終仕様:
restore_grace_period(v, device_申請) { IF静寂状態(v) { IF device_match(device_申請, v.device_record) { ← ケース1:同じデバイス grace_remaining(v) ← 30日, grace_used ← TRUE } ELSE IF (NOW - last_tx(v)) ≤ 30日 { ← ケース2:最近のデバイス交換 v.device_record ← device_申請 grace_remaining(v) ← 30日, grace_used ← TRUE } } }
grace_remaining(v) > 0 の期間は、配分 = 100% × (ΔM / N) を保障。
game-economist
ゲーム論的に支配戦略は維持される。合意する。
用語集
復帰パス(Restoration Path)
長期離脱(90日以上無活動)から復帰する際の仕組み。デバイス紐づけで本人確認を行い、1回限りの grace period を付与することで、真の困窮者を救済しながら Sybil 攻撃を防止する。
デバイス紐づけ復帰確認
復帰申請時に、デバイス固有ID(TPM、Secure Enclave など)が巣の記録と一致するか暗号学的に検証する。一致すれば「本当の所有者の復帰」と認定。一致しない場合は、最後の取引から30日以内の新デバイスなら移行を許可。
復帰用 Grace Period(30日)
静寂状態から復帰が確認された巣に対して、1回限り30日間付与される配分保障期間。この間は、巣は通常通り 100% × (ΔM / N) の配分を受け取る。
デバイス交換猶予(30日)
デバイスが壊れたり、機器交換したりした場合、最後の取引から30日以内であれば新しいデバイスからの復帰申請を認める。これにより、スマートフォン故障などの自然な事象に対応。30日経過した場合は「新しい巣」として扱われる。